🏟️ はじめに:札幌ドームから始まった北海道の野球物語
2004年、日本ハムファイターズ(以下、日ハム)は東京ドームから札幌ドームへ本拠地を移転しました。
当時、北海道への移転は大きな挑戦であり、地域密着の先駆けともいえる一歩でした。
その後、球団は人気を拡大し、2006年には新庄剛志、小笠原道大らの活躍で日本一を達成。北海道のファンに深く根付いていきます。
しかしその裏で、球団は長年にわたり「球場経営の自由度の低さ」に苦しんでいました。
この構造的な課題こそが、のちに北広島市への移転を決断する最大の理由となります。
💸 第1章:札幌ドームにおける高額使用料と制約
📝 使用料と収益構造の問題
札幌ドームは札幌市が100%出資する第三セクター「札幌ドーム株式会社」が運営していました。
日ハムはこのドームを借りて試合を開催する立場でしたが、契約内容は球団にとって非常に厳しいものでした👇
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 球場使用料 | 年間約20億円(推定)と高額 |
| 飲食・グッズ収益 | 札幌ドーム側が大部分を取得 |
| 球場広告 | 球団とドーム側で分配 |
| 改修・イベント | 札幌市の許可が必要で柔軟性が低い |
この結果、球団は観客を集めても、その多くの収益をドーム側に持っていかれる構造になっていました。
同じプロ野球でも、甲子園(阪神)やPayPayドーム(ソフトバンク)のように球団側が主導権を持つ球場とは対照的です。
🏗️ 設備改修の遅れと方針のズレ
2010年代に入ると、日ハムは観客体験を重視した球場改修やボールパーク構想を札幌市側に提案します。
しかし、市側は「ドームは市民施設であり、プロ野球の専用球場ではない」という立場を崩さず、改修計画はなかなか進展しませんでした。
人工芝の張り替え時期や仕様、座席の改良、観客導線の改善なども交渉が長期化し、球団はフラストレーションを募らせていきます。
こうして「自前球場を持ちたい」という声が球団内部で強まっていきました。
🏞️ 第2章:北広島市の積極的な誘致と構想の転換
📝 2016年、北広島市が名乗りを上げる
2016年、日ハムは札幌市と並行して、隣接する北広島市にも新球場建設の可能性を打診しました。
このとき、北広島市は素早く反応し、「全面的に誘致を進める」と表明します。
- 広大な市有地の提供が可能
- 駅直結・道路整備の協力
- 球団の構想を尊重する柔軟な姿勢
札幌市が慎重な姿勢を崩さなかったのに対し、北広島市はスピード感と積極性で球団の信頼を勝ち取っていきました。
📝 2018年、正式に北広島移転を決定
長期の協議を経て、2018年、日ハムは正式に北広島市への移転を発表します。
これは、長年続いた札幌ドームとの関係に終止符を打つ歴史的決断でした。
そして、球団は単なる「新球場」ではなく、地域と一体となったボールパーク構想を掲げます。
🧭 第3章:エスコンフィールド北海道──地域とともに歩む球場
🏟️ 自前運営による経営の自由度
2023年3月、北広島市に「ES CON FIELD HOKKAIDO(エスコンフィールド北海道)」が開業しました。
この球場は、球団の100%子会社「ファイターズ スポーツ&エンターテイメント(FSE)」が建設・所有・運営を担っています。

土地は北広島市の公有地を長期借地契約で利用し、建物は完全に球団側の資産。
👉 球団が主導権を握る「自前球場」の完成です。

人気になった”きつねダンス”
🌳 地域と共生するボールパーク構想
エスコンフィールドは単なる野球場ではなく、周辺を含めた「北海道ボールパークFビレッジ」として整備されました👇
- 天然温泉・サウナ・ホテル・レストランを併設
- 地元農産物やクラフトビールとのコラボ
- 年間を通じて音楽・イルミネーション・マルシェなどを開催

👉 野球がない日でも楽しめる「街のような空間」として、地域の観光・商業と密接に連動しています。
💰 第4章:地域経済への波及効果
エスコンフィールドとFビレッジは、建設費だけで約600億円、周辺整備を含めると1,000億円規模のプロジェクトです。
開業初年度は国内外から注目を集め、年間来場者は目標の300万人を上回る勢いでした。
北広島市の試算では、経済波及効果は年間約200億円規模。
地元ではホテル・飲食店・物流・交通など関連業種の雇用も拡大し、北広島駅周辺の地価も上昇。
自治体にとっても「地域創生の核」となる存在となっています。
📝 第5章:新しい球場経営モデルとしての可能性
⚾ 自前球場で収益を最大化
札幌ドーム時代は、球団が努力して観客を集めても収益の多くはドーム側に流れていました。
エスコンフィールドでは、球団が広告・グッズ・飲食・イベントをすべて自社で管理し、利益を直接享受できます。
👉 これにより、球団経営の安定化・多角化が可能となり、MLB型のボールパーク経営に近づきました。
🏟️ 他球団・NPBへの波及
このモデルは他球団にも影響を与えています👇
- ロッテ:自治体所有球場の制約を問題視し、ボールパーク化を検討
- 楽天:周辺開発を進め、温泉・商業施設を導入中
- 中日:ナゴヤドームの経営構造改革が議論され始める
日ハムの北広島移転は、日本のプロ野球経営における「構造転換点」となったのです。
🏁 おわりに:球団と地域が共に成長する未来へ
日ハムが札幌ドームを離れ、北広島市にエスコンフィールドを建設した背景には、長年の経営課題と地域との新しい関係づくりへの挑戦がありました。
移転は単なる「球場の引っ越し」ではなく、
👉 球団の経営構造の刷新
👉 地域経済の活性化
👉 NPBの未来モデルの提示
という3つの意味を持っています。
エスコンフィールドは、地域とともに歩む新しいスタイルの球場。
この取り組みが、日本のプロ野球を次の時代へ導くきっかけになるかもしれません。


