──ミーム、政治、生活実感が混ざる“今の日本”を読み解く**
2025年11月5日、T&D保険グループが発表した「第42回 新語・流行語大賞」ノミネート30語が公表された。
今年は例年以上に、ネット文化・若者カルチャー・社会不安・生活実感が入り乱れ、まさに“2025年という時代の断面”を切り取ったラインナップになった。
AIやSNS文化の変化が日常生活に深く浸透し、政治・経済の揺らぎが続く一方で、食のトレンド、地域文化、健康志向といった身近なテーマも多く選ばれている。
流行語とは、その年の“空気感”の結晶であり、社会のストレスや喜び、驚き、そして人々の心の動きが集まった言葉だ。
本記事では、公式に確認されたノミネート30語を語源付きでまず一覧化し、
そのあと 今年の流行語を3つの軸で分類・分析 し、
最後に 深掘りコラム(2025年の言葉が映す社会心理) をお届けする。
2025年の日本は、一体どんな感情で満たされていたのか。
言葉の流行から、その答えが見えてくる。
✅ 【第1章】2025年「流行語30語+語源」公式一覧
まずは今年発表されたノミネート語30語を、
「語源(どこで発生したか)」の簡潔な説明つき で一覧にした。
✅ 2025年 新語・流行語大賞 ノミネート30語+語源
| No | ノミネート語 | 主な語源・発生源 |
|---|---|---|
| 1 | エッホエッホ | メンフクロウのヒナ動画についた擬音がSNSミーム化 |
| 2 | オールドメディア | 既存新聞・TVへの批判、動画時代との対比 |
| 3 | おてつたび | 旅×短期労働を結ぶサービス名から一般語化 |
| 4 | オンカジ | オンラインカジノ問題の報道・捜査を機に拡散 |
| 5 | 企業風土 | 不祥事報道で“声が上げにくい組織体制”が話題に |
| 6 | 教皇選挙 | 映画『教皇選挙』ヒット+コンクラーベ報道 |
| 7 | 緊急銃猟/クマ被害 | 都市部での“アーバンベア”問題、制度改正 |
| 8 | 国宝(観た) | 映画『国宝』大ヒットによる体験表現 |
| 9 | 古古古米 | 備蓄米の古米化報道から広まる食料問題ワード |
| 10 | 7月5日 | 「巨大津波予言」デマが海外で拡散し騒動化 |
| 11 | 戦後80年/昭和100年 | 2025年の節目イヤーで特集が多数展開 |
| 12 | 卒業証書19.2秒 | 首長の表彰対応が炎上しネット言及が急増 |
| 13 | チャッピー | ChatGPTの愛称として一般化 |
| 14 | チョコミントよりもあ・な・た | 声優ユニット曲のセリフがTikTokで人気 |
| 15 | トランプ関税 | 米国の再強硬政策が世界経済に影響、議論化 |
| 16 | 長袖をください | TV番組ネタ→ネットミーム化 |
| 17 | 二季 | 温暖化で“春秋が消えた”という実感表現 |
| 18 | ぬい活 | “推しぬい”を連れて撮影する文化 |
| 19 | 働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相 | 初の女性首相のフレーズが話題 |
| 20 | ビジュイイじゃん | ボーイズグループ楽曲中の台詞が流行 |
| 21 | ひょうろく | 人気急上昇のお笑いタレント名 |
| 22 | 物価高 | エネルギー・食品等の値上げが長期化 |
| 23 | フリーランス保護法 | 2024年施行の新法が周知され話題に |
| 24 | 平成女児 | 平成レトロ文化の再評価が背景 |
| 25 | ほいたらね | 朝ドラ作品で使われた高知方言 |
| 26 | 麻辣湯 | 食のトレンドとして“シビカラ”が普及 |
| 27 | ミャクミャク | 大阪・関西万博キャラの再注目 |
| 28 | 薬膳 | 健康志向の高まりとドラマ影響 |
| 29 | ラブブ | 香港発キャラ。K-POPから世界拡散 |
| 30 | リカバリーウェア | 休息・回復を重視したウェアの普及 |
✅ 【第2章】2025年の流行語を“3つの軸”で読み解く
──ミーム・社会不安・生活実感の三重構造
今年の30語は多種多様だが、整理すると 3つの軸 が浮かび上がる。
✅ A:SNS・ミーム化する若者文化
──「かわいい」「面白い」「撮りたい」が社会を動かす
対象語:
エッホエッホ、長袖をください、ビジュイイじゃん、チョコミントよりもあ・な・た、ぬい活、ひょうろく、ラブブ など
●特徴は「映える」「軽やか」「共有されるもの」
“意味よりイメージ”“理屈よりノリ”が重視されるのがこの層の言葉だ。
「エッホエッホ」はフクロウヒナの擬音という、まったく意味のない言葉が爆発的に拡散した典型例。
「長袖をください」も、かわいさ・語感のよさが先に立ち、意味は後付けだ。
「ぬい活」は“推しを同伴して写真を撮る”文化が定着した結果、言葉として確立した。
若者文化は「共感」ではなく、
“共感できなくても共有できる”文化へシフトしている。
✅ B:社会・政治・ニュース実感語
──「不安・デマ・不祥事・政策」…世相の“ざらつき”が言葉になる
対象語:
オールドメディア、オンカジ、企業風土、緊急銃猟/クマ被害、7月5日、卒業証書19.2秒、物価高、トランプ関税、女性首相フレーズ など
2025年は、政治・経済・社会問題ワードが非常に多い。
これはそのまま、国民の不安や苛立ちが強かった表れでもある。
「7月5日」の“巨大津波デマ”騒動は、SNS社会の脆さを象徴。
「企業風土」「卒業証書19.2秒」の炎上は、
“声を上げにくい日本社会”への批判とリンクする。
「物価高」は生活者にとって新しい問題ではないが、
“慣れてしまった物価高”という状況自体が流行語になったほど影響が大きい。
さらに、
- トランプ関税
- 女性首相就任フレーズ
といった政治変動のワードも並び、
2025年が“政治の年”であったことを示している。
✅ C:生活・健康・食・文化のリアルトレンド
──「整える」「懐かしむ」「温暖化を実感する」流れがはっきり
対象語:
薬膳、麻辣湯、リカバリーウェア、平成女児、戦後80年/昭和100年、二季、国宝(観た) ほか
このカテゴリは、生活者が“現実的に体験している”テーマが中心。
「薬膳」「麻辣湯」は、健康意識の高まりとアジアンフード人気の双方が背景にある。
「リカバリーウェア」は“休息の最適化”が市民権を得た象徴だ。
「二季」はとても象徴的で、
気候変動が日常感覚に食い込んできた結果、生まれた言葉
である。
夏が長く、春と秋が短くなった実感が、国民の中で共通言語になっている。
また「平成女児」「戦後80年/昭和100年」は、
“懐かしいものを再評価する”レトロ消費の広がりを示す。
✅ 【第3章】深掘りコラム
──2025年の30語は、何を私たちに語りかけるのか?
ここからは、この記事の“本質を捉える部分”。
2025年の30語が映し出す日本社会を、3つの視点で深く読み解く。
✅ コラム1:SNSミームは「意味」ではなく「感情」を運ぶ
2025年のミームワードの多くは、意味の明確さよりも 語感・可愛さ・ノリ が重視されていた。
「エッホエッホ」はその最たる例で、
“かわいい”
“癒された”
という感情をパッケージとして運ぶ。
この傾向は、
ストレスの多い社会だからこそ、軽やかな言葉への需要が高い
という裏返しでもある。
意味を削ぎ落とし、感情だけを残す。
ミーム語は、ある意味“現代の俳句”のようなものなのかもしれない。
✅ コラム2:政治・炎上・デマは「社会の疲れ」の象徴
2025年の流行語は、社会不安が強く反映されている。
「7月5日」のデマ拡散は、
不確実な未来に怯える人が多い からこそ広まった。
「企業風土」「卒業証書19.2秒」の炎上は、
組織と個人の関係性の“ほころび” を象徴している。
“オールドメディア vs. 新しい情報源” という対立も、
社会が分断されている事実を浮かび上がらせる。
政治の揺らぎ、物価の上昇、不祥事の連続。
人々は疲れており、その疲れが流行語に溢れだしている。
✅ コラム3:生活実感の言葉が示す「日本の現在地」
薬膳、リカバリーウェア、麻辣湯――
これらの言葉には、
自分の身体を守りたい、整えたい
という生活者の切実な願いがある。
「二季」はさらに深刻だ。
気候変動が、ニュースでも専門家の説明でもなく、
生活者の体感そのもので語られるようになった。
「平成女児」や節目イヤー関連ワードは、
先の見えない時代だからこそ、
“自分の原点”を再確認したい
という心理が反映されている。
流行語は、人々の生活実感の記録でもある。
✅ 【総括】
流行語は時代の“感情の履歴書”である
2025年のノミネート30語を眺めると、
今の日本社会を動かしている3つの力が見える。
- SNSが生む、軽やかで曖昧な感情共有
- 政治・経済・環境の不安が言葉として噴き出す現象
- 生活者が“身体・心・日常”を守ろうとする感覚
流行語は単なるトレンドではない。
それは、時代を生きる私たちの感情のスナップショットだ。
2025年の30語は、
不安もユーモアも懐かしさも、新しい文化も全部ひっくるめて、
「いまの日本」の姿をそのまま写し出した鏡
と言えるだろう。


